なぜ会社がオンボーディングを積極的に行うべきなのか

こんにちは。転職市場が活況になるにつれ、「オンボーディング」という考え方が広がってきました。採用から入社後、定着までの施策のことです。これまで、職場に馴染むかどうかは転職者側の努力に任されていたところがありましたが、近年では会社がどうするかが焦点となっています。

なぜ会社がわざわざ転職者のために動かなければならないのか。今回はそんなお話をしていきます。

入社直後から下がり始める期待感やモチベーション

転職者は概ね初日がモチベーション(やりがい、期待)のピークで、そこから逓減していきます。これは私の実感でもあります。入りたいと思った会社の初日、もちろん不安もあるけど「よし、がんばろう」と一番気合が入ります。

そして想像と違う環境、業務内容などに直面します。いわゆるリアリティショックというもの。入社前の想像(期待)はかなり美化されていますから、多少なりとも失望感が出てきます。

そしてこのリアリティショックが行き過ぎると「こんなはずじゃなかった」「ここに来たのは間違いだった」と、この転職は人生で大きな失敗だったと落ち込み、早期離職の恐れも出てきます。

早期退職で話題になりやすいのは新卒ですが、こう考えてみると早期離職は新卒に限ったものではないことがわかると思います。(実際、中途採用者でも早期離職は一定数起こります)

リアリティショックを和らげるためのオンボーディング

そこで注目されるのがオンボーディングです。入社前後から定着まで、転職者のフォローを十分にしていこうというもの。

昔を知る人にとっては「転職者は即戦力なのに」「いい大人なんだから自分で立場を作れよ」と、入社後は転職者本人が努力するものと思うかもしれません。

転職者が多くない時代であれば、それでよかったかもしれません。うまく定着できなかったら本人の適性の問題と片付けておしまいでした。しかし、転職者が多いと本人任せでは効率が悪い。さらには採用難な現代では、辞められては採用の努力まで無駄になってしまいます。

リアリティショックを最低限に抑え、会社への期待感を維持、再向上させるためにオンボーディングは最重要です。何しろ、せっかく迎える人材のパフォーマンス発揮に関わるわけですから。

なぜ会社が積極的に関わるべきなのか

前述のように、少し古い考え方だと「即戦力なのだから転職者が積極的に立場を作るべき」と言います。

例えばCxOの立場での入社だったら(少し極端ですが)、すでに「あり方」の共通認識ができているはずです。「こう動いてくれるよね」「そうしますとも」。役割が明確というわけです。

しかし、一般の転職では入社後の立場は様々です。案外、明確な立ち位置が説明されないままということもよくあります。例えば「作業者としてメンバーの業務を引き受けてほしい」という形での入社の場合、「自分から積極的に業務を探せ」と言うのは少し違いますよね。転職者としては「引き受けてほしい業務があるんでしょ?」の気持ちで入社してますから。それに、実際の引き継ぎも教える資料の準備、口頭で伝える時間の確保など、会社(既存メンバー)の都合によるところが大きいでしょう。

このように主導権が会社側にあるなら、会社から関わっていくのが当然よいということになります。

会社の第一印象がその後の活躍に影響する

転職者に与える入社時の印象というのは案外大事です。転職者からすれば、会社の第一印象とは「自分の周りのメンバーの第一印象」でもあります。これが良くないとその後の関係はなかなか作りにくくなってしまいます。

この「最初のつまずき」は長く引きずります。メンバーと良い関係を築けず、自分のパフォーマンスを発揮できない。こんなはずじゃなかった、前職ではもう少しうまくやっていたのに。こうして転職者は自信をなくしていき、あるいは「環境が悪い」と失望してしまいます。

これですぐに転職活動を再開する人もいれば、長く燻る人もいるでしょう。もちろん、その後に関係を築き直すこともありますが、そこまでの時間ももったいないですよね。会社としては入社直後から最高のパフォーマンスを発揮してほしいはずですから。

というわけで、オンボーディングを適切にしないというのは、会社にとっても転職者本人にとってもよくないことなのです。どちらの歩み寄りも必要ですが、会社としても最大限の支援をする。これがオンボーディングです。

社員の早期離職に困っている企業の方、まずオンボーディングの必要性、重要性をご理解ください。そして具体的に何をしたらいいかを考えていきましょう。

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