20代でついた差は一生逆転できないのか 正解を求める現代の病

こんにちは。少し前、X(Twitter)で「20代でついた差は一生逆転できない」という話を見かけました。これについてみなさん意見を交わしていたようですが、私はこれは「いい大学、いい企業に入れば人生安泰」と同じ、「正解の生き方」の話のように感じています。

「若いときの苦労は買ってでもしろ」の強いメッセージ

この手の話は、言い切りで強いメッセージ性があって人気を得やすい、議論を呼びやすいものではあります。「20代でついた差は一生逆転できない」。そうなのかやはり20代は必死にならなきゃな。わかりやすい。

「いい大学、いい企業に入れば人生安泰」も同様で、だから受験戦争、就職活動に(人によっては文字通り)命を賭けます。

要は「若いときの苦労は買ってでもしろ」ですね。

生き方というのは自分で決めるには難しすぎることで、こうした強い言葉を言われると納得しやすい。

私は慣用句などの風雪に耐えた言葉は真理であると考えているので、「若いときの苦労は買ってでもしろ」には理解するところがあります。私自身は実際には何も買いませんでしたが。

正解を求めているから強いメッセージに動かされる

こうしたメッセージが定期的に出るのは、多くの人が正解を欲しているからではないでしょうか。

特に現代は「こうすればいい」という正解が見えなくなってきてしまいました。大学、就職先、職業、何もかも、選択肢はたくさんあるけどすべて自分で選ばなければならない。よほど意志が強くなければ「自分の選択が正解だ」とは信じられないでしょう。だから正解を示してほしい。

なぜ正解がほしいのか。

それは、自分の目指す幸せはわからないけど、とりあえずどうしたら幸せになれるか知りたいから、ではないかと思います。そこで、「幸せとはこうだ」「幸せになりたいならこうしなければならない」と教えてくれる強いメッセージにすがっていく。

与えられた正解は本当に正解なのか

そもそも、正解って何だと思いますか。数学には唯一の答えがありますが、生き方や幸せのようなものには唯一の正解があるわけではありません。

生き方や幸せに対する答えは一人ひとりが個別に持ちます。「私の幸せって何ですか」と他人に聞いても誰も分かりません。それを見つけるには自分に向き合わなくてはならない。

そして、「自分に向き合う」ことを多くの人は学んでいません。むしろ周りの空気を読むことを学んできました。だから「周りが考える幸せとは何だろう」「私もみんなと同じ幸せの世界にいたらいいんじゃないか」と思うようになります。しかし、それは自分が本当に望んだことではないので(周りに合わせただけなので)、何かの拍子に崩れてしまいます。

そうして迷う中で与えられる「強いメッセージ」は、まるで救世主のようです。しかし、それは本当にあなたにとっての正解なのでしょうか。

正解を自分で見つける、自分で見つけたことを正解にする

若いときにたくさんの苦労をする、場数を踏む。それが経験値になって引き出しが増える。それはそうだと思います。ではそれが人としての成長するため、幸せになるための唯一の方法なのでしょうか。

それなら、極端なことを言えば戦争を生き抜いた経験こそ最強、平和な時代の苦労なんて軟弱だ、ということになってしまいます。常に「究極の苦労」が頂点にあり、そこに近づくほど成長し幸せになるということになります。

私は、そこそこの程度の苦労、あるいは平穏な生活の経験にも価値があると思っています。例えば、特に苦労がなかった人はおっとりした性格になるかもしれません。厳しい状況では負けがちだけど、普段はやさしく癒しになる存在です。その存在にもとても価値があります。

どんな生き方をしてきたかで、百人百様の人生になります。そのどれにも価値があるはずです。

「20代でついた差は一生逆転できない」はある一場面の勝ち負けの話

タイトル回収ということで、「20代でついた差は一生逆転できない」は「生き馬の目を抜くような競争社会においては、30代以降での逆転は難しい」という、場面を限定した話です。みなさんはそういう場面で戦いたいのでしょうか。そうでなければ、そもそもこれを考える必要はありません。生きる世界が違うのだから。

もちろん、30代で逆転することもできます。人それぞれ、「勝利」の定義は異なるわけですから。

まるで「これが正解」のような、強いメッセージには気をつけましょう。影響を受けないようにしましょう。「これは私の生き方、幸せにとって考えるべきメッセージか」と一度考えましょう。

そしてその判断のために、少しでも自分にとっての生き方、幸せとは何かを考えておきましょう。自分のことがわかっていれば、どれが自分にとって必要なメッセージか、わかってきます。

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